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がけ条例対象土地でも売却方法はある?制限土地を安全に売る手順を解説

香芝市 不動産売却

石川 真也

筆者 石川 真也

不動産キャリア35年

香芝市在住です。休日は登山や妻とのランチ、犬の散歩等、平凡に過ごしています。
不動産業界で長年培った経験と知識を生かし、「顧客第一主義」をモットーにお客様の大切な不動産を最善の方法で売却できるよう尽力いたします。お客様に寄り添い、どのようなご相談にも誠心誠意対応いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

敷地の一部ががけ条例の対象になっていると聞くと、その時点で売却は難しいのではないかと不安になる方が少なくありません。
しかし、実際には、規制内容や対象となる範囲を正しく理解し、事前に確認すべき点を押さえれば、買主にとっても納得しやすい形での売却は十分に可能です。
そこで本稿では、がけ条例の基本的な仕組みから、敷地の一部だけが対象となる場合の影響、売却前に確認しておきたいポイント、そして現実的な売却方法と進め方までを順を追って整理します。
がけに伴う建築制限を踏まえつつ、どのように説明し、どこまで責任を負うことになるのかを知ることで、自分の土地の価値を冷静に見極めることができます。
売却を検討し始めた段階の方でも理解しやすいよう、できるだけ専門用語をかみ砕きながら解説していきますので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

がけ条例とは?対象となる土地と建築制限

がけ条例は、建築基準法を具体的に運用するために各自治体が定めている建築基準法施行条例の一つで、がけ崩れによる建物被害を防ぐことを目的とした規定です。
建築基準法第19条第4項に基づき、がけ付近の敷地に建物を建てる際の安全性を確保するため、建築確認の段階で適用の有無が判断されます。
そのため、がけ条例は単独で存在するのではなく、建築基準法および同施行令と一体となって、敷地と建物の安全基準を定める仕組みになっています。
また、具体的な制限内容や緩和条件は自治体ごとの施行条例により細かく定められており、地域差がある点が特徴です。

一般的に「がけ」とみなされるのは、地表面の高低差が2mまたは3mを超え、かつ水平面に対する傾斜角が30度を超える急な斜面で、硬岩盤以外の土質で構成される部分とされています。
多くの自治体の施行条例や技術資料では、この高さと傾斜角を基準にがけの有無や高さを判定し、がけの上端や下端の位置も図示して定義しています。
さらに、がけそのものだけでなく、がけの崩壊の影響が及ぶと考えられる範囲も規制対象に含められ、がけの高さに応じて一定距離までを「がけ条例の影響を受けるエリア」として扱う考え方が一般的です。
したがって、敷地の一部が急傾斜であれば、その周囲の平坦部分も含めてがけ条例の対象となる可能性があります。

がけ条例が適用されると、代表的な建築制限として、がけに近接した位置には建物を建てられない建築不可の範囲が生じることがあります。
多くの自治体では、がけの上側または下側に建物を建てる際、がけの高さの1.5倍から2倍程度の離隔距離を水平距離として確保することを求めており、その結果として敷地内で建築可能な部分が後退する、いわゆるセットバックが必要になります。
また、適切な構造の擁壁が設置されている場合には、条例に定められた条件を満たすことで制限が緩和される一方、擁壁がなく安全性が確認できない場合には、新たに擁壁を設置することが事実上の前提となることも多いです。
このように、がけ条例は建築計画そのものだけでなく、造成計画や工事費用にも大きな影響を与える点が重要です。

項目 概要 売却への影響
がけの一般的定義 高さ2〜3m超かつ30度超の急斜面 対象地かどうかの起点判断
対象となる範囲 がけ本体と崩壊影響想定エリア 敷地の一部のみ規制となる場合あり
主な建築制限 離隔距離確保と擁壁設置など 建築可能面積と工事費用に影響

敷地の一部だけががけ条例対象のときの影響

敷地の一部だけががけ条例の規制範囲に含まれる場合でも、建物全体の位置や規模に大きな影響が出ます。
多くの自治体では、がけの下端または上端から、がけの高さに一定の倍率を掛けた離隔距離の範囲に居室を設けることを制限しています。
例えば、千葉県ではがけの上側では高さの1.5倍、下側では2倍以内に居室を有する建築物を原則禁止しており、敷地の一部がこの範囲にかかると建築可能な位置が大きく後退することがあります。
そのため、敷地全体ではなく「建物を建てられる有効な部分」がどこまでかを図面上で正確に確認することが重要になります。

がけからどの程度離せばよいかという離隔距離は、条例によって倍率が異なりますが、「がけの高さの1.5倍から2倍程度」を基準とする例が多く見られます。
離隔距離は、がけの上側であれば下端から水平距離を測り、下側であれば上端から測るのが一般的な考え方です。
この範囲を除いた残りの部分が、居室を設けることができる有効宅地面積の目安となり、建物の配置計画や延べ床面積の上限を考える際の前提になります。
有効宅地面積が想定より小さくなると、戸建住宅でも階数や間取りの自由度が下がるため、売却前からおおよその建築ボリュームを把握しておくことが望ましいです。

敷地の一部ががけ条例の対象となると、土地の利用計画だけでなく評価額にも影響が出やすくなります。
まず、離隔距離内は居室を設けにくいため、駐車場や庭、物置などの用途に限定されることが多く、同じ面積でも実質的に使いやすい部分が減る傾向があります。
また、安全性を確保するために擁壁の補強や新設が必要になる可能性があり、その工事費用の見込みが買主側の負担感となって、一般的な宅地よりも価格交渉を受けやすい要因になります。
したがって、売却を検討する際には、がけ条例部分を含めた全体面積だけでなく、「建物を建てられる部分の広さ」と「必要となり得る安全対策費」を踏まえて、市場での位置付けを整理しておくことが大切です。

確認するポイント 買主への影響 売却時の留意点
がけからの離隔距離の範囲 建築可能な位置や形状の制約 配置計画のイメージを共有
有効宅地面積のおおよその広さ 建物の大きさや間取りの自由度 一般的な宅地との違いを説明
擁壁等の安全対策の要否 追加工事費用や工期への影響 価格設定と交渉材料の整理

がけ条例対象土地を売却する前に必ず確認したいポイント

まずは、自分の土地ががけ条例の対象かどうかを、役所で正式に確認しておくことが大切です。
一般的には、都市計画や建築指導を担当する部署で、都市計画図や建築基準法施行条例、がけに関する技術資料などを閲覧できます。
その際には、登記事項証明書、公図、地積測量図、建築確認図書などを持参し、敷地とがけの位置関係や、どの部分が建築制限を受けるのかを職員に相談しながら確認するとよいです。
これらを整理しておくことで、売却時に説明すべき範囲を自分で把握できるようになります。

次に、敷地周辺の擁壁の有無や構造、所有者を確認しておくことが重要です。
擁壁は、コンクリート造やブロック積み、石積みなど種類が多く、高さや厚さ、排水設備の状況、ひび割れや傾きといった変状の有無によって安全性が大きく変わります。
また、擁壁がどちらの土地に築造されているか、所有関係や管理区分が不明確なままでは、補修費用や責任範囲をめぐるトラブルにつながりやすいとされています。
老朽化や損傷が疑われる場合や、高さが大きい擁壁については、建築士や構造に詳しい専門家へ相談し、必要な調査や補修の要否を検討しておくと安心です。

さらに、売却にあたっては、がけ条例や擁壁の状況に関する情報を、重要事項説明や告知書でどのように伝えるかを整理しておく必要があります。
宅地建物取引業者は、がけ条例による建築制限や擁壁の位置・構造などについて、重要事項説明書で説明する義務があり、売主にも知っている事実を正確に告知することが求められます。
具体的には、がけ条例の制限範囲、擁壁の有無と所有関係、確認できている設計図書や検査済証、過去の補修履歴、目視で分かるひび割れや傾きなどを、事前に整理しておくとよいです。
こうした情報をあらかじめ把握し、書面と口頭の両方で誠実に開示することで、売却後の紛争リスクを抑えやすくなります。

確認項目 主な内容 目的
がけ条例の適用状況 規制範囲と建築条件 建築可否と制限把握
擁壁の状態と所有 構造・老朽化・管理者 安全性と責任範囲整理
説明・告知内容 重要事項説明と告知書 売却後トラブル予防

がけ条例の制限がある土地の現実的な売却方法と進め方

がけ条例の制限がある土地を売却するときは、更地にするか、古家付き土地として売るかなど、前提となる売却方法の選び方が重要になります。
がけや擁壁の状況によっては、建物の建て替えや擁壁工事が必要となり、その費用が売却価格に大きく影響します。
そのため、まずは「現状のまま売るのか」「工事をしたうえで売るのか」を整理し、それぞれの手取り額とリスクを比較して検討することが大切です。
無理に高値を狙うよりも、がけ条例による制限を前提にした現実的な売却プランを組み立てることが求められます。

更地売却は買主にとって利用計画を立てやすい一方で、解体費や擁壁工事費を売主が先に負担する必要があり、工事内容によっては数百万円以上になる場合もあります。
一方、古家付き土地として現況のまま売却する方法であれば、解体費や擁壁改修費を売主が負担せずに済む代わりに、その分を見込んだ値引き交渉に応じることが一般的です。
また、がけ条例による離隔距離の制限や、擁壁の新設・補修が必要になる可能性は、買主の建築計画や資金計画に直結するため、売却方法の選択段階から説明内容まで一体として考えることがポイントです。
「どの方法が一番高く売れるか」だけでなく、「どの方法なら安全かつ確実に売り切れるか」を基準に検討することが重要です。

価格設定をする際には、近隣の平坦な土地の相場を参考にしつつ、擁壁の新設費用や補修費用、深基礎や杭基礎など代替工事の概算額を差し引くという考え方が有効です。
買主側も建築コストと土地代の合計で予算を検討するため、あらかじめ工事費の目安を共有し、その分を価格に反映させることで、後の大幅な値引き要求やトラブルを避けやすくなります。
また、契約条件として「現況有姿での引渡し」「契約不適合責任の期間や範囲」などをどのように定めるかで、売却後に売主が負う可能性のある補修費用や損害賠償リスクが変わってきます。
価格だけでなく、契約条件と売却後の責任のバランスを踏まえて交渉に臨むことが大切です。

売却方法 主なメリット 主なデメリット
更地で売却 買主の利用計画立案が容易 解体費や擁壁工事費の先行負担
古家付き土地売却 解体費を売主が負担せずに済む がけ条例を踏まえた値引き前提
工事費反映価格設定 工事費を織り込んだ公正価格 相場価格より売出価格が低下

まとめ

がけ条例は、土地の安全性を確保するための重要な規制であり、対象となる部分が少しでもあれば建物の建て方や利用計画に大きく影響します。
敷地の一部だけが対象でも、有効に使える面積や建築可能な位置が変わり、評価額や売却価格にも直結します。
売却前には、役所での条例確認や擁壁の状態、告知すべき内容を丁寧に整理することが欠かせません。
当社では、がけ条例対象地の調査から価格設定、契約条件の工夫まで一貫して支援し、安全かつ納得感のある売却をお手伝いいたします。
がけ条例が心配な土地の売却でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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